ポッドキャストは“ガチ”でやらなきゃダメー!『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』が常に全力投球な理由

ラジオやポッドキャストの人気パーソナリティは、日々どんなことを考えて番組づくりに臨んでいるのか。音声メディアの名手にインタビューする「音声コンテンツの最前線」。

第4回は、ニッポン放送のポッドキャスト番組『オールナイトニッポンPODCAST トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』でパーソナリティを務める、お笑いコンビ「トム・ブラウン」の布川ひろきさんとみちおさんに話を伺いました。

高校の柔道部時代から続く関係性がありながら、マイクの前では互いの感情を剥き出しにした“ガチ”のケンカが勃発することも。予定調和なやりとりを一切許さないふたりの掛け合いは、多くのリスナーから支持されています。ポッドキャストを自分たちの「本拠地」と語るふたりの番組への思いをお聞きしました。

ポッドキャストは“ガチ”でやらなきゃダメー!『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』が常に全力投球な理由

 

『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』パーソナリティが語る音声メディアの魅力とは?

本記事では、ポッドキャスト番組『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』でパーソナリティを務める、布川ひろきさんとみちおさんに、音声メディアの魅力について伺っていきます。

番組紹介
番組名:オールナイトニッポンPODCAST トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画(ニッポン放送)
URL:https://podcast.1242.com/tom/

お笑いコンビ「トム・ブラウン」のふたりがパーソナリティを務めるポッドキャスト番組。2021年の配信開始以来、枠に収まらない“剥き出し”のトークで熱烈な支持を集めている。リスナーのアイデアを漫才のネタに取り入れるコーナー企画「トム・ブレイン」など、時にリスナーを巻き込みながらライブ感溢れる掛け合いが展開されている。2025年8月には観世能楽堂で初の番組イベントを開催。音声メディアの枠を超えたクリエイティブな広がりを見せている。

テレビと違う、音声メディアならではのトム・ブラウンの魅力

──2021年10月にスタートした『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画(以下、圧縮計画)』ですが、すでに5年目を迎えています。

布川:こんなに長くやらせてもらえるとは思ってなかったです。当時の「オールナイトニッポンPODCAST」のラインナップを見ると、知名度などの面で、僕らが一番“代え”がききそうなポジション。だからこそ「この枠は渡さないぞ」という気持ちで必死でしたね。

みちお:最初はスタッフの皆さんでさえ、「こいつらがトークなんてできるのか?」と半信半疑だったと思います(笑)

──テレビとは違うトム・ブラウンの魅力が浸透してきた気がします。

布川:僕たちは漫才のおかげもあって、「バイオレンス」なパブリックイメージを持たれがちです。ただポッドキャストでは、みちおの恋の話や、僕が好きな日向坂46の話もしているため、普段と違う方向の反響がたくさんあるんです。そういう部分も喜んでもらえると分かってからは、楽しく続けられていますね。

みちお:「番組見ました」とか「ライブ楽しみにしています」とか言われるのはもちろん嬉しいんですけど、「ラジオ聴いてます」はさらに嬉しいですね。僕たちの内側まで知ってくれている人なんだなと。ラジオが「本拠地」のような場所になっているからこそ、もっと面白くしていきたいという気持ちが強いです。

布川:ラジオじゃなくてポッドキャストな。

ポッドキャストは“ガチ”でやらなきゃダメー!『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』が常に全力投球な理由

──番組のコンセプトや、トークの内容について伺えますか?

布川:そもそも、あまり最初からガチガチに決めていなかったんですよ。ただ「ちゃんとトークゾーンをつくりたい」という話はしていました。

みちお:それくらいだよね。

布川:ひとつだけ決めていたのは、「狙ってケンカをするのはやめよう」ということ。テレビ番組で「(ふたりで)ケンカしてください」と言われたことがあったんですが、あらかじめ決めたうえでケンカしても全然上手くいかない。だから、そういうのは止めようと。

みちお:逆にいうと、ポッドキャストでのケンカは全部本気です。布川はガチで僕にキレてます。

布川:普通に本気です。

──あれほどストレートに怒りをぶつけて疲れないのでしょうか?

布川:むしろウケるんで、ストレスがめちゃくちゃ軽減されます(笑)。「正月の居酒屋でビールが全然来なかった話」とかも、結果的に全部ぶちまけちゃいましたね。それが「笑い」になるなら最高じゃないですか。

みちお:話すつもりがなくても、本音をつい喋っちゃう感覚。音声メディアの良いところですよね。

番組のグルーヴ感をリスナーとともに創り出す

──おふたりの掛け合いは番組の魅力のひとつです。高校時代の柔道部の先輩(布川)・後輩(みちお)という関係性ゆえにつくられるグルーヴ感がたまりません。

みちお:昔から、布川は僕が喋りたがらない恋愛の話とかをすごく聞きたがるんです。「あの子いいな」とポロッと口にすると、「どこがいいの?」「どうやって声かけるの?」って畳み掛けてくる。

布川:みちおの諦めたはずの恋の蓋を、僕がまた開けちゃうんです。

ポッドキャストは“ガチ”でやらなきゃダメー!『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』が常に全力投球な理由

──ポッドキャストの初回配信でも、みちおさんが有楽町で出会った女性とのやりとりが包み隠さず語られています。

布川:「もう1回、LINE送ってみろよ」みたいなね。

みちお:ポッドキャストもメディアなんで、一応、薄皮一枚くらいは本当の自分を隠しているつもりなんですけど……。布川はめざとくこじ開けてくるんですよ。

布川:僕は他人の話を聞くのが嫌いじゃないんです。大人数の飲み会でも、あまり喋らずに聞いている方が好きですし。みちおは承認欲求が強くて喋りたいタイプだから、自然とそうなるんだと思います。

──番組開始時からのコーナー企画「トム・ブレイン」では、ネタの掴みをリスナーから募集しています。採用したネタは、実際の舞台でも使っているというのは本当ですか?

布川:本当に使ってます!

みちお:布川は1個ずつのメールに対して深掘りしすぎなんです。「これこれこうだから不採用」とか。

布川:こっちもすべりたくないからね。ただメール送ってくれてありがたいし、これからも送ってほしいので、ダメな理由もちゃんと説明した方が良いかなって。だからいわゆる「ダメ出し」じゃないんです。

──2024年の「M-1グランプリ」の決勝前には、リスナーの本気度が伝わるレベルの高いネタも寄せられました。

布川:ありがたいです。「本当にリスナーのネタを使ってるんだ」と芸人からは驚かれることもありますが、そこにプライドはありません。面白いネタであれば、「そりゃ使うでしょ?」って感じです。

僕たちのケンカは「音声だけ」がちょうどいい

──5年間、ポッドキャストを続けて印象に残っている回はありますか?

布川:みちおが「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」で、早々に帰ったことですね。先輩であるオードリーさんの晴れ舞台について熱く語っていたのに、実はライブ途中で誰よりも早く席を立ったんですよ。衝撃でした。

みちお:一応、ライブが終わってから席を立ったんですよ……。

布川:終わってません。世間では、みちおが意外に“いいやつ”だと思われていますが、本当に人でなしですよ、この人は。

──リスナーの投票で選ばれた「ep.142 番組初の衝撃 計画」も、みちおさんが布川さんに詰められて涙するという衝撃回でした。

布川:前後のエピソードをセットで聴くと、みちおが本当に「こいつ、情緒不安定すぎるだろ?」という動きなんで、ぜひ合わせて聴いてほしいですね。

みちお:テレビなら「すみませんでした」で終わらせる場面でも、ラジオだと本当に謝りたくないから謝らない。ガチなケンカも、音声メディアだからこそ起こるんだと思います。

布川:みちおが卑怯なのは、テレビでこの話をするときは完全に僕を悪者にするところですね。

みちお:だって、俺目線の話だから……。

布川:141回・142回と聴き分けてみてください。こいつが“ろくでもない”って分かりますから。


──ポッドキャストで話すときに気をつけていることはありますか?

みちお:企画やトピックスの大きな流れはありますけど、基本的には決めていません。ただ、僕の話がグロすぎないか、コンプラ的に大丈夫かはスタッフさんに確認してもらっています。

布川:以前、みちおが用意した3つの話が全部「コンプライアンス的にアウト」だったこともありました(笑)。僕もトピックをいくつかメモしておく程度ですね。あとは話の流れで出します。みちおの話は「なんやこいつ」というネタがいっぱい出てくるので、あまり考えずツッコミの言葉が出てきます。

──テレビとポッドキャストでは、出演する際のスタンスにどのような違いがありますか?

布川:テレビだと、僕らのケンカは「怖すぎる」んです。デカいやつとひょろ長いのが本気でやり合うと、共演者が引いちゃう。音声だけの方がちょうどいいのかもしれません。

ポッドキャストは“ガチ”でやらなきゃダメー!『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』が常に全力投球な理由

『圧縮計画』は、第2のエジプト?

──2025年8月の観世能楽堂でのイベントも盛況でした。ただ場所も含めて、かなり特殊な環境でしたよね?

布川:会場側から「食堂以外での食事禁止」や「足袋の着用必須」など、厳格なルールを提示されたのが逆に新鮮でした。ちゃんとルールを遵守していたら、一部で「トム・ブラウンは常識がある」と評価されたことも。

みちお:音声だけのポッドキャストとは違い、照明を落として怖い雰囲気を演出するなど、視覚的なアプローチができたのは面白かったです。あと以前、学園祭でやって大すべりした「会場の後ろから飛び出して登場する」という演出も盛り上がりましたね。リベンジできて良かったです。

布川:「トム・ブレイン」の企画も舞台上で行いました。普段メールでやりとりしているリスナーを特定して、直接ダメな理由を伝えられたのも面白かったです。

みちお:僕が自分の砕けた歯をプレゼントしたり、布川が漫才のネタを間違えたり。あの場、あの空間でしか起きないハプニングの連続が、イベントらしい熱量を生んだと感じています。

https://sales.1242.com/news/250821_001

──今後の展望や、記事の読者に向けたメッセージをお願いします。

布川:ポッドキャストでマッチング企画とかやってみたいですね。僕らのスタッフさんたちはパートナーがいない人が多いので。「我こそはマッチング企画に参加したい」というリスナーは声を掛けてほしいです。

みちお:歯医者さんとタイアップして、僕の歯をインプラントにする中継とかどうですか?

布川:リスナーの皆さんは、僕らのネタを「IQが低そう」と思っているかもしれませんが、実はこの番組は高学歴な方が多く聴いてくれているようです。その謎をぜひ解き明かしてください。

みちお:『圧縮計画』は「第2のエジプト」です。まだ見ぬ空洞や謎が眠っています。そんな謎に満ちた我々のトークをお楽しみに。

布川:エジプト?

ポッドキャストは“ガチ”でやらなきゃダメー!『トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画』が常に全力投球な理由

取材を振り返って

取材を通じて感じたのが、おふたりが常に全力でポッドキャストに向き合っていることでした。考えてみれば漫才もテレビも、単独ライブもすべて本気で、だからこそ5年前のエピソードが今も新鮮な“ネタ”として蘇ってくるのだと感じました。

そんなふたりの全力投球が清々しいからこそ、リスナーも心置きなく番組を楽しんでいるのかもしれません。スタジオの中から、時にはスタジオを飛び出し、等身大のやりとりを見せてくれるトム・ブラウン。次なるステージが楽しみでなりません!

撮影/結城 拓人

番組概要
放送局ニッポン放送
番組名:オールナイトニッポンPODCAST トム・ブラウンのニッポン放送圧縮計画
配信日時:毎週金曜18:00 頃
パーソナリティ:トム・ブラウン(布川ひろき・みちお)
番組HP:https://podcast.1242.com/tom/
番組X:https://x.com/tomasshukuANNP