[サウンドロゴ探求]第2回:カゴメ ― ファンと共に生まれた「カゴメ、カゴメ♪」

[サウンドロゴ探求]第2回:カゴメ ― ファンと共に生まれた「カゴメ、カゴメ♪」

たった数秒の短い音ながら、言葉やロゴマーク以上に、人々の心にブランドイメージを深く刻み込む「サウンドロゴ」。

本連載「サウンドロゴ探求」では、私たちが知っている数々のサウンドロゴにスポットを当て、音の力で消費者の心を掴む、その効果と背景を深掘りします。

第2回となる今回は、カゴメのサウンドロゴに焦点を当てます。

「カゴメ、カゴメ♪」でお馴染みのカゴメのサウンドロゴですが、その背景にはどのような秘密が隠されているのでしょうか。今回の「サウンドロゴ探求」では、世界的に知られるこの音がもたらす効果を深掘りします。

[サウンドロゴ探求]第2回:カゴメ ― ファンと共に生まれた「カゴメ、カゴメ♪」
引用元:カゴメ株式会社HP
サウンドロゴ探究 vol.2「カゴメ」「カゴメ、カゴメ♪」
・使用開始年:2017年
・業種:食品メーカー
・展開国:日本
・ブランド名読み上げ:あり
・コピー&タグライン:自然を、おいしく、楽しく。

「自然を、おいしく、楽しく。カゴメ、カゴメ♪」

カゴメがサウンドロゴ導入を決めたのは2016年。ブランドステートメント「自然を、おいしく、楽しく。」を音楽で表現し、より多くの人に親しみやすく届けたいという狙いがありました。

自然を、おいしく、楽しく。

カゴメ、カゴメ

階段を駆け上がるような、リズミカルなメロディが印象的なカゴメのサウンドロゴ。数々のCMソングを手がけてきた作曲家の桜井順氏が作曲したものです。

そして編曲には音楽家のbabi氏が携わり、ピアノやファゴット、パーカッションといった生楽器を中心に据えることで、「自然」「安心感」といったカゴメのブランドイメージを補強しています。アコースティックな音色が、カゴメが掲げる「自然に反する添加物や技術に頼らない」という姿勢とも重なります。

また、歌唱を担当したビューティフルハミングバードの小池光子氏の、透明感のある声が清潔さや信頼感を想起させます。特に「カゴメ、カゴメ♪」のリフレイン部分は、声そのものが音楽的なロゴとして機能しており、文字情報以上の強い印象を残しています。

階段を駆け上がるようなメロディラインと「カゴメ、カゴメ♪」という繰り返しのフレーズが、親しみやすさと印象強さの両立に成功しています。

ファンの声が反映された制作プロセス

カゴメのサウンドロゴは、単に社内で決まったものではありません。

2015年4月に開設された「&KAGOME」は、コミュニティサイト運営の成功事例として取り上げられることも多く、10年目を迎えた2024年には会員数が6万人を越えています。

[サウンドロゴ探求]第2回:カゴメ ― ファンと共に生まれた「カゴメ、カゴメ♪」
引用元:&KAGOMEのHP

2016年9月にカゴメの公式コミュニティサイト&KAGOMEの会員860名に「カゴメを音で表現すると?」というアンケートを実施。その回答をもとに作られた6曲の候補について、&KAGOMEメンバー内で人気投票を行い、その結果をもとに社内会議でサウンドロゴが決まりました。このようにカゴメのサウンドロゴは、ファンと社員の声を融合させて誕生したのです。

翌年2017年2月、サウンドロゴは野菜生活100のテレビCMでショートバージョンとして初公開されました。

「カゴメ、カゴメ♪」は今では世代を問わず親しまれ、映像なしでも企業を想起させる力を持つまでに成長しています。

まとめ

カゴメのサウンドロゴは、前向きさを感じる明るいメロディライン、そして生楽器と透明感のある声といった音楽的要素とブランドメッセージがきれいに重なり合うことで、「自然を、おいしく、楽しく。」という言葉が、耳からも感じ取れるロゴとなっています。

さらに、制作プロセスにファンを巻き込むことで、老若男女から親しまれるサウンドロゴになっていると言えるでしょう。

AMI(エイミー)

社名の由来はトマトを収穫するときの籠の目で、童謡の『かごめかごめ』とは無関係らしい。