英国のポッドキャスト制作プラットフォームを提供するAlituが、558人の独立系ポッドキャスターを対象とした調査レポート「The Independent Podcaster Report 2025」を発表しました。
さらに本レポートでは、収益化や制作コスト、ビデオポッドキャストの普及率、ポッドキャスト配信のモチベーションなどのデータをもとに、自主制作ポッドキャストを継続するためのコツを分析しています。

独立系ポッドキャスター558名にアンケートを実施
本レポートでは、ポッドキャスター向けニュースレターPodcraft Pointersやポッドキャスト制作プラットフォームAlituの利用者558名に対して、アンケート調査を実施しました。
レポートの5つのポイント
その結果、独立系ポッドキャストに関して、以下の5つのポイントが明らかになりました。
- 利益よりも情熱を優先
- 課題は「新規リスナー獲得」
- 主要な収益方法は「スポンサーシップ/広告」
- AI活用によって制作時間が減るわけではない
- ビデオポッドキャストを導入しても制作時間が増えるわけではない
独立系ポッドキャスターのための5つの戦略
本レポートではさらに、独立系ポッドキャスターが配信を続けるための5つの戦略を提案しています。
- 新規リスナーの獲得だけでなく、既存リスナーとのコミュニティ作りに注力する
- ニッチな市場を狙ったスポンサーを獲得する
- リリース頻度や1エピソードあたりの配信時間を調整することで、燃え尽き症候群を予防し、持続可能な配信を目指す
- ビデオポッドキャストを制作してみる
- AIやポッドキャスト制作ツールを活用する
以下では、本レポートの詳しい結果をグラフとともに紹介します。
回答者の特徴

- 年齢:50歳以上が47%と最多。41〜50歳が25%。31〜40歳が17%、18〜30歳が7%。
- 性別:男性48%、女性45%、ノンバイナリー/ノンコンフォーミング3%、無回答4%。
- 経験年数:未経験/準備中が19%、1年未満が25%、1〜3年が19%、3〜5年が15%、5〜10年が14%、10年以上が8%。
回答者の特徴を見ると、中高年層の割合が高いものの、男女比は均等でした。また、ポッドキャスト配信経験のない約2割の参加者の回答は、番組運営経験に関する設問では除外されています。
配信の目的は「他者のサポートとやる気を起こさせること」

31%の回答者は、ポッドキャスト配信の最終目標を「他者を助ける/やる気を起こさせること」こととしています。2022年の調査でもこの回答が最も多かったようです。
次いで、「自己の楽しみ・創作の場」と答えた人が20%、「特定のテーマ/トピックを広める」と答えた人が12%という結果になりました。
新規リスナー獲得が最大の課題

また、72%のポッドキャスターが「視聴者数/発見可能性の拡大」を最大の課題だと感じているようです。この課題は番組の規模に関わらず、ダウンロード数が500以上(58%)、1,000以上(56%)、さらには5,000以上(47%)の番組でも、最大の課題となっています。
それに続いて、「収益化(39%)」、「エンゲージメント(32%)」、「コミットメントと燃え尽き症候群(30%)」となっています。
マネタイズに成功しているのは15%

回答者のうち、85%はポッドキャスト番組で収益を上げていないという結果になりました。収益化を最終目標に掲げている人は全体の約1割ほどであったことから、本レポートでは、「独立系ポッドキャスターの大多数は収益化を優先事項とみなしていない可能性が高い」と分析しています。
ポッドキャストは主な収入源か?

さらに、収益化に成功している15%のポッドキャストに絞ると、「ポッドキャストを主な収入源としている」と答えた割合はわずか8%で、46%は「損益ゼロか少しの利益しか得られていない」と答えています。
ポッドキャストでの収益化方法

収益化方法として最も多かったのは「スポンサーシップ/広告」で65%でした。続いて「有料サブスクリプション」が48%、クラウドファンディングなど「リスナーからの寄付」が31%となっています。
最も収益性の高い収入源に関する質問でも、「スポンサーシップ/広告」が41%と最も高い割合となりました。このことは、ポッドキャスト広告が独立系ポッドキャストの間でも広がっており、スポンサー側は少数のニッチな顧客層へアクセスする機会として利用していることを示唆しています。
4割がビデオポッドキャストを配信

「ビデオポッドキャストを公開しているか?」という質問に対しては、「ビデオポッドキャストのみを配信している」と答えたのが19%、「ビデオポッドキャストとショートクリップを配信している」は12%、「静止画像を投稿し、動画プラットフォームで音声を公開している」と答えたのが11%でした。これらを合計すると、全体の約40%がポッドキャストを動画としても公開していることになります。
また、32%は「動画を制作していないが、検討中である」と答えており、ビデオポッドキャストに前向きな姿勢を示しているようです。
ポッドキャスト制作におけるAI利用

AI活用に関する質問では、「AI生成トランスクリプト」を利用している回答者が38%と最多で、次に「コンテンツの調査・アイデア・計画(30%)」、「番組概要欄とエピソードタイトルの作成(30%)」、「動画や音声の編集(30%)」という結果となりました。一方33%は「AIを使用していない」と答えています。
また本レポートによると、生成AIの活用の有無に関わらず、エピソード制作にかかる平均時間はほぼ変わらないようです。
ポッドキャストの制作にかかる時間は1-5時間

ポッドキャスト制作に費やしている時間を見ると、「1~3時間」が27%、「4~5時間」が28%となっていて、「10時間以上」と答えた人も13%いるようです。
意外なことに、本レポートによると、音声のみのクリエイターの方が制作時間が長い傾向にあると報告されています。「6時間以上」と回答した割合は、ビデオポッドキャスト配信者では約36%であったのに対し、音声のみの配信者では約45%に上りました。この結果について、音声のみの配信者は伝統的な編集文化にならうことが多く、音質改善やエピソードの構成により多くの時間を費やす傾向にあると分析されています。
4割はポッドキャストを辞めたいと思ったことがない

ポッドキャスト配信を辞める理由に関する質問では、41%が「辞めることを考えたことがない」と答えています。一方ネガティブな回答としては「視聴者数が増えない(30%)」、「時間がない(25%)、「収益化できない(23%)」、「燃え尽き症候群(22%)」などが挙げられました。
年齢別に見ると、50歳以上の51%が「一度も辞めたいと思ったことがない」のに対し、50 歳未満で同じように答えた割合は 32% となりました。また、女性の方が「視聴者数が増えない」という理由から配信を辞めたいと考える人が多い傾向にあるようです。
Alituとは
Alituは、ポッドキャストの作成に特化したオールインワンのオンラインプラットフォームです。録音、ノイズ除去、音声の平準化、イントロ・アウトロの挿入、文字起こしなどの一連の作業をワンストップで行えます。さらに、編集したエピソードを直接主要配信プラットフォームに公開できる機能や、配信専用サイトを自動生成する機能も備わっています。初心者でも専門知識なしで利用できるよう設計されており、時間短縮を図りたいクリエイターに向いています。
参照元:The Independent Podcaster Report 2025: Inside the Minds of 558 Creators



長いレポートだったぜ。