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日本国内におけるゲーム市場は、2024年に2兆3,961億円に達し、過去最高の市場規模となりました。ゲーム人口も5,473万人まで増加しおり 特に10〜20代は、インターネットユーザーの20%がオンライン・ソーシャルゲームをモバイルデバイスで楽しんでいます。**
モバイルゲームは若年層にとって重要なデジタルメディアとなっていることから、新たな広告フォーマットとして、「ゲーム内音声広告」に注目が集まっています。とりわけ音声プラットフォームのリーディングカンパニーであるAudiomob(オーディオモブ)は、この分野を牽引する存在として、グローバルで急成長を遂げています。
オトナルは、2023年から日本市場におけるゲーム内音声広告の販売と普及を推進してきました。
そこで今回、Audiomob共同創業者 兼 CTOのWilfrid Obeng(ウィルフリッド・オベン)氏にインタビューを実施し、音声広告の可能性や、日本市場におけるゲーム内音声広告のビジョンについてお聞きしました。聞き手は、オトナルでグローバルコミュニケーション責任者を務め、ゲーム内音声広告事業を統括する金澤ジョーダンです。

企業様紹介

企業名:Audiomob Ltd.
事業内容:スマートフォンゲームおよびアプリ向け音声広告プラットフォーム「Audiomob」の提供
ご担当者様紹介
Audiomob 共同創業者 兼 CTO
Wilfrid Obeng 氏
* ファミ通ゲーム白書 2025
* CESA ゲーム産業レポート2024
** 令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査(2025年6月 総務省情報通信政策研究所)
ゲーム内音声広告が求められている理由
金澤(オトナル):本日はよろしくお願いします。早速ですが、音声広告がいま注目を集めているのはなぜだと思いますか?
Wilfrid Obeng(Audiomob):「音声」は決して新しいメディアフォーマットではありません。しかし今、再び注目されているのは、現代の人々があらゆるメディアを利用するようになったからだと考えています。24時間365日、良くも悪くも、人々はマルチタスクを前提として行動するようになりました。
音声独自の強みとして、「ながら聴き」ができることが挙げられます。運転中や育児中、ワークアウト中など、様々なタスクをこなしながら音声コンテンツを消費できるのです。
金澤:確かにそうですね。私も子育ての合間にポッドキャストを聴くことも多いです。
さて、Audiomobは195カ国、690以上のアプリに展開されておりゲーム内音声広告をグローバルに普及させています。そもそもなぜ「ゲーム」と「音声広告」を組み合わせようとしたのでしょうか?

Wilfrid Obeng:ゲームやアプリの開発者は長年、収益化とユーザー維持のバランスに課題を抱えてきました。従来は、ゲーム中に配信される広告によってゲームプレイを阻害されると感じるユーザーが多かったんです。
そこで私たちは、ユーザーの没入感を低下させない音声広告に可能性を見出しました。音声広告であれば、ユーザーはゲームに没頭したままブランドメッセージを受け取ることができます。実際に、私たちが実施したケーススタディやブランドリフト調査でも実証済みです。

金澤:今後、ゲーム広告における「音」の役割はどのように進化していくと思いますか?
Wilfrid Obeng:私たちが事業を始めてから5年の間に、ゲーム内広告は着実に普及しています。現在も、モバイルゲームをプレイするユーザーは世界で10億人以上おり、この拡大傾向は今後も続くと考えられます。
モバイルゲームはニッチなゲームユーザー層に限定されるメディアではありません。性別や年代を問わず、誰もがプレイしています。だからこそ私は、ユーザー体験を重視する音声広告のようなフォーマットが、今後主流になっていくと考えています。ユーザーファーストの広告時代において、音声広告は市場をリードする存在になっていくでしょう。
金澤:あえて意地悪な質問をしますが、ユーザーの多くは音声をオフにしているため、音声広告そのものを聴いていないのではないでしょうか?
Wilfrid Obeng:まさに音声広告における最大の誤解のひとつですね。しかしデータをみると、iOSとAndroidの両方で、約80〜85%のユーザーがゲーム音量を10%以上に設定していることが分かります。さらにリワード広告の場合は、音量を30%以上に設定しています。
またメッセージの想起率と定着率という点において、音声広告は他の広告フォーマットを上回る傾向があります。「ながら聴き」に象徴されるように受動的に音声コンテンツを聴取していると思われがちですが、興味深いことに、ブランドのメッセージはユーザーの心に残りやすいのです。特に公共情報キャンペーンのような一部のケースで、音声広告が特に効果的だと証明されています。
金澤:それはなぜだと思いますか?
Wilfrid Obeng:やはり体験を邪魔しないことに尽きるでしょう。動画広告はしばしばユーザーが楽しんでいる体験を中断してしまいますが、音声広告はユーザーの環境やコンテンツ消費にシームレスに溶け込みます。
考えてみれば人類ははるか昔から、他の作業をしながら音を聴いてきました。受動的ながら多層的に物事に注意を払うのは、私たちにとって自然なものなのでしょう。そこに音声広告が持つ真の力が潜んでいると思います。

ゲーム内音声広告の本当の姿
金澤:Audiomobが展開するゲーム内音声広告は、ユーザーの広告体験にも非常に気を遣っていると感じます。Audiomobのプラットフォームは、どのような経営思想に基づき設計されているのか教えてください。
Wilfrid Obeng:創業初期から、私たちは多くの定性調査を通じて設計プロセスを検証してきました。調査に参加いただいたユーザーには、ゲーム内音声広告だけでなく、従来の動画広告も体験してもらっています。それぞれのフォーマットが、彼らの体験にどう影響するかを理解するためです。
その結果、ユーザーの多くは、ゲームで流れる音声と広告の音声、それぞれが同時に流れるのをとても嫌がることが分かりました。広告が伝わらないだけでなく、広告主のイメージさえ損なってしまうほどです。ゲームプレイを楽しむユーザーに経緯を払いながら、ユーザーフレンドリーで、広告効果の高い製品設計を心掛けたというわけです。
金澤:広告主やパブリッシャーからもフィードバックを受けましたか?
Wilfrid Obeng:もちろんです。広告主からもパブリッシャーからも多くのフィードバックをいただいています。AI音声モデルや音量検知の仕組みに至るまで、本当に多岐にわたる意見や要望がありますね。それらの多くは、私たちの製品設計にも大いに役立ちました。
ゲーム開発のコストが高まる中、収益化が困難になることは、優れたゲームがつくれなくなることを意味します。ゲーム市場におけるネットワーキングや、ユーザー体験を阻害しない収益化のビジネスモデルを持つことは、開発者にとって非常に重要なことだと思います。
金澤:Audiomobの成長のために必要なことは何ですか?
Wilfrid Obeng:パートナーとのリレーションシップが重要なことは言うまでもありませんが、やはりデータドリブンで「結果」を重視することがますます求められると思います。収益を生み出すことで、研究開発にも予算を割くことができるわけで、特にAI領域には注視しなければならないでしょう。ゲーム内音声広告といった新しい領域で、1日たりとも停滞するわけにはいかないと、常に緊張感を持って事業に臨んでいます。

Audiomobが見据えるグローバル展開とは?
金澤:Audiomobは現在、500以上のゲームと690のアプリで利用されています。このような規模感に至った経緯について、戦略や意思決定の観点からお答えいただけますか?
Wilfrid Obeng:良い質問ですね。私たちがこの規模を達成できたのは、主に以下の3つの戦略が鍵となりました。
まず、有力なパートナーとの連携です。私たちはiSU Gamesのような主要パートナーと戦略的パートナーシップを構築し、彼らのトップゲームの50%でAudiomobを独占的に提供しています。こうした協力関係が、私たちが大規模なユーザーベースに一気にリーチする上で不可欠でした。
次に、技術的なインフラストラクチャへの投資です。グローバルな展開では、複数の地域やタイムゾーンにおいて安定して広告配信できる技術基盤が非常に重要です。このインフラを整備したことで、世界中の市場に迅速に進出することが可能になりました。
そして最も重要なのは、市場と広告主のニーズに応えることです。特にオーディエンスターゲティングは大きな成功を収めました。Z世代や富裕層、デバイスの言語など、特定の層にリーチしたいという広告主の要望に的確に応えることで、私たちのサービスは世界中で受け入れられました。モバイルゲームのユーザー層が多様化しているという知見も、音声広告が幅広い層にアピールできると証明するのに役立ち、さらなる成長を後押ししてくれました。

金澤:Audiomobは世界的なモバイルゲーム開発およびパブリッシングを手掛けるVoodooと独占的パートナーシップを結びました。業界でも大きな注目を集めていますが、パートナーシップに至った経緯について詳しく教えてください。
Wilfrid Obeng:Voodooは「Helix Jump」や「Paper.io」といった世界的なヒット作を数多く生み出しており、モバイルゲーム業界における彼らの影響力は計り知れません。私たちは彼らと独占的パートナーシップを結ぶにあたり、非常に慎重に進めました。
まず、いくつかのゲームで小規模なA/Bテストを行い、音声広告が既存の収益化に悪影響を与えず、収益を増加させられるかどうかの検証から始めました。その結果、目覚ましい成果がみられたため、Voodooは私たちを彼らのトップ54のゲームとアプリに本格的に導入することを決定しました。
このパートナーシップの最大のポイントは、ユーザーの定着率を損なうことなく、追加の収益を生み出している点です。私たちは、既存の収益化手法を一切妨げずに音声広告を挿入しました。近年、従来の広告手法だけで収益化するのは非常に難しくなっており、ユーザー体験を損なう広告はユーザー離れに直結します。Voodooは、ユーザーを不快にさせることなく収益化できるツールとして、音声広告の可能性を高く評価してくれました。ゲームプレイの体験を尊重しながら収益を最大化できることが、パートナーシップ成功の鍵でした。

オトナルへの期待と日本市場における可能性
金澤:さて、ここからは日本について伺いたいと思います。率直に、日本市場をどのように捉えていますか?
Wilfrid Obeng:とても魅力的な市場です。「ファイナルファンタジー」や「メタルギアソリッド」など、日本のゲームは常に世界のゲームシーンに大きな影響を与えてきました。実際、日本は人口が多いだけでなく、ゲームに熱心な方が多いですよね。単なるエンターテインメントでなく、日常生活に深く根付いている印象があります。Audiomobにとって日本は、アジアを見据えた戦略において最も重要かつ自然なステップとして位置付けています。
金澤:ありがとうございます。ただ、日本には独自の商習慣もありますし、言語の「壁」も厚いと思います。その点については、どのように考えていますか?
Wilfrid Obeng:日本に限った話ではありませんが、どの国や地域においても市場を理解することは大切です。日本でも、私たちはローカルパートナーシップが鍵になると考え、可能性を探ってきました。そういった意味で、日本における音声広告のリーディングカンパニーのオトナルに出会えたのは非常に大きかったと感じています。
オトナルは、音声メディアへの深い理解や、パブリッシャーと広告主の両方にもたらすメリット、それらの価値を日本市場に普及させていく方法を熟知しています。オトナルのような日本における音声広告をリードする企業とそれぞれの強みを補完しながら事業を推進させていくことができるのです。これからも日本のゲーム市場において、ゲーム内音声広告のらら価値を日本に浸透させていくことを楽しみにしています。
金澤:最後に、日本の広告主やパブリッシャーにメッセージをお願いします。
Wilfrid Obeng:音声メディアはまだまだ新しい領域で、正解があるものではありません。だからこそ挑戦することを恐れないでほしいと願います。まだ躊躇いもあると思いますが、ひとたび音声広告がユーザーに受け入れられると、あらゆる意味で「良い広告」だと認知されると確信しています。
パブリッシャーにとっては、ゲーム内音声広告がユーザー体験を尊重する形で、新しい収益化を模索できることを意味します。広告主にとっても、より自然な形で商品やブランドのメッセージが伝えられるでしょう。そんな当たり前の広告のあり方を、ともにつくっていけたら嬉しいです。
ゲーム内音声広告は、単なるトレンドではありません。人々が広告をどのように捉えるべきか、大きなパラダイムシフトの渦中にあると考えています。Audiomob、そしてオトナルとともに、新しい広告体験の形を見つけていきましょう。
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