ロイタージャーナリズム研究所が、全世界のニュースの利用や実態について調査したロイター・デジタルニュースリポート2025を公開しました。ニュース利用におけるポッドキャスト利用の拡大が示されています。

米国ではニュースポッドキャストの利用が特に拡大
ロイター・デジタルニュースリポート2025によると、ポッドキャスト先進国である米国ではニュースを知るにあたってポッドキャストを主に利用している人の割合が15%にのぼり、13%のラジオを上回っています。

また、米国のニュースポッドキャストでは、コメディアンのジョー・ローガン氏や元FOXニュース司会者のタッカー・カールソン氏など、個人が配信しているニュースポッドキャストが特に人気を集めている点も特徴です。

一方で、こうした個人が配信しているニュースポッドキャストの勃興に対しては、ジャーナリズムとアクティビズムの境界線が曖昧になるという懸念も示されています。ジョー・ローガン氏は2024年の米国大統領選挙においてドナルド・トランプ氏と共演し、トランプ氏の選挙戦勝利に影響を与えたと指摘されています。
日本の週間ニュースポッドキャスト利用率は3%
世界20か国で過去1週間にニュースポッドキャストを利用した人の割合を調べたデータでは、日本の週間のニュースポッドキャスト利用率が3%であることが示されました。

ニュースポッドキャスト利用率3%という数字は、20か国の中で最も低い数字となっています。これについてロイタージャーナリズム研究所は、日本やイタリアなどではポッドキャスト市場自体がまだ新興段階にあるためであると分析しています。
また、デンマークやスウェーデンなどの北欧地域ではニュースポッドキャストの利用率が米国並みに高いことが示されています。
しかし、これらの地域では既存の放送局やラジオ局が配信するニュースポッドキャストが人気を集めており、個人が配信する番組が人気を集める米国とは異なる状況であると分析されています。
ニュースポッドキャストの影響力は更に拡大へ
世界的に、ニュースポッドキャストの利用者は35歳未満の層と高所得・高学歴層に多いと示されています。

司会者との距離の近さや傾聴傾向が高いというポッドキャストのメディアとしての特徴により、ニュースポッドキャストの利用者の73%が、ニュースを理解するにあたってポッドキャストが役に立つと回答しています。
さらに、ビデオポッドキャストの流行によりYouTubeなどの動画プラットフォームやInstagram、TikTokなどのSNSでもニュースポッドキャストの利用が拡大しており、ニュースポッドキャストの影響力はさらに増していくと分析されています。
ロイター・デジタルニュースリポートとは
ロイター・デジタルニュースリポート(Reuters Digital News Report)は、オックスフォード大学に設置されているロイター・ジャーナリズム研究所が毎年発行している、世界のデジタルニュースの利用動向を調査・分析した国際的な報告書です。BBCやNHKなど世界中のメディアが協力しており、ニュース利用の実態や変化を把握するための重要なデータソースとして活用されています。
3%を高いと見るか低いと見るか。