電通は、4月1日にSpotifyおよび英国の視線データを専門とするLumen Researchと共同で行った調査結果を公開しました。調査の中で音楽ストリーミング広告が高いアテンションを獲得することを明らかになっています。

音楽聴取時のアテンション効果とは
アテンション効果とは、注意を引きつけ維持する効果のことで、デジタル広告の新たな評価指標として注目されています。
本調査は、SpotifyとLumen Researchの協力のもと実施され、音楽ストリーミング広告がユーザーにどのように受け止められているかを可視化することを目的としています。実際の視聴環境を再現し、Spotify上で配信される音声広告や動画広告に対して、ユーザーの視線データを計測しています。

その結果、Spotify内の動画広告では最大で100%、音声広告でも92%という非常に高いアテンション率が記録されました。これは、ユーザーが音楽をリラックスした状態で聴いているタイミングに広告が挿入されることで、自然な形で注目を集められていることを示しています。Spotify内での動画・音声広告はいずれも非常に高いアテンション率を示し、音楽聴取中という没入状態における広告接触の質の高さが浮き彫りになりました。

感情や広告設計が与えるブランド効果
音声広告においては、尺の長さとブランド効果の関係性についても検証が行われました。25秒のクリエイティブが最も高いブランド想起率を示し、30秒の広告はブランド選択において最も効果的であることが明らかになっています。ブランド提示のタイミングも効果に影響する要因とされており、広告の冒頭でブランドを提示した場合には想起率が高くなる傾向が見られました。これらの結果から、メッセージの構成や設計次第で成果が大きく変動することが示唆されています。


さらに、楽曲を聴いたあとのユーザーの感情状態も、広告効果に密接に関係することが判明しています。ポジティブな感情状態にあるユーザーは、ネガティブなユーザーと比べてブランド想起が8ポイント、ブランド選好が7ポイント高いという結果が得られています。音楽によって高まった前向きな心理状態が、そのまま広告への好意的な態度に結びついていると考えられます。

電通は今回の調査結果を通じて、アテンションを軸とした広告評価と設計の重要性を提言しています。ユーザーとの自然な接点を活かす音楽ストリーミング広告は、今後のデジタルマーケティングにおける有効なチャネルとして、さらに注目を集めていくでしょう。
音楽ストリーミング広告とは
音楽ストリーミング広告は、SpotifyやApple Musicなどの音楽配信サービス上で配信される広告のことです。音楽を再生する合間に流れる音声広告や、アプリ画面に表示されるバナー・動画広告などがあり、ユーザーのリスニング体験中に自然に接触できる点が特徴です。リラックスした状態での接触や高い集中度を活かし、ブランドの認知向上や好意形成に効果があるとされています。
参照元:電通ジャパン・インターナショナルブランズ、音楽ストリーミング広告におけるアテンションの可能性を探る、調査レポートを発表
アテンション取れない広告は、もはやノイズでしょ。