ポッドキャストで「声が聴こえる農家」に。『よるののうか』に聴く音声配信の魅力

インターネットラジオの代表格である「ポッドキャスト」の魅力はどこにあるのか。その配信者であるポッドキャスターへのインタビュー連載「ポッドキャスターに聴く」

第16回は、『よるののうか ~農業バラエティ~』(以下、『よるののうか』)のパーソナリティである山本康平さんと伊藤貴章さんに話を伺いました。

本記事はFM大阪にて放送中のラジオ番組『オトナル原口大輝のエスケープジャーニー』との連動記事となっています。

ポッドキャストで「声が聴こえる農家」に。『よるののうか』に聴く音声配信の魅力

農業を面白く伝えることを目指して発信する『よるののうか』。ポッドキャストを始めた経緯や番組制作の裏側について伺いながら、音声メディアの魅力や今後実現したいことを語ってもらいました。

『よるののうか』が語る音声メディアの魅力

本記事では、『よるののうか』のパーソナリティである山本さんと伊藤さんに、ポッドキャストをはじめとする音声メディアの魅力を伺っていきます。

番組紹介:『よるののうか ~農業バラエティ~』


『よるののうか』は、和歌山県在住の農家の山本康平さんと伊藤貴章さんが送る農業系ポッドキャスト番組です。農業をテーマにした軽快なトークが人気を集め、第1回Podcast Star Awardでは最優秀賞を受賞しました。

農家がポッドキャストを始めた理由

──『よるののうか』はどのような番組ですか?

山本:農業にまつわることを面白おかしく伝えることをコンセプトにした番組です。農家の人もそうじゃない人も、農業についての話を楽しむことができる番組を目指して配信しています。

伊藤:「除草剤で打順を組んでみた」とか「一番良いフリー音源の草刈り機の音を決める」みたいな、ニッチではありつつも一般の人にも伝わるトークテーマでお届けしています。

──『よるののうか』を始めたきっかけはなんですか?

山本:もともと農家と音声コンテンツって相性が良くて、日中の農作業中にラジオをよく聴くんです。

私も農家になりたてのころ、一人の作業中に孤独をいやすために農家の人が配信しているポッドキャストをよく聴いていました。そうした中で、自分も農家の人たちにエールを送りたいと思ってポッドキャストを始めました。

ゲストの農家を招いてトークをするというのが配信開始当初の番組のスタイルでした。もともと伊藤さんはそのゲスト農家のひとりだったんですが、伊藤さんの受け答えが特に面白かったので、複数回呼ぶうちに定番になりました。それで、今では準レギュラーという扱いになっています。

伊藤:そうですね。番組は6年半前からやっていますが、僕が参加するようになったのは4年くらい前からです。

──番組はどんな人が聴いていますか?

山本:農家の人はもちろんですが、農家じゃない一般の人もよく聴いてくれています。もともと農家向けに始めた番組ですが、配信を重ねるごとにだんだんと一般の人が増えていきましたね。『OVER THE SUN』など有名な番組にも注目いただいたこともあり、今では一般の人のほうが多いと思います。

ポッドキャストで「声が聴こえる農家」に。『よるののうか』に聴く音声配信の魅力
引用元:https://podcastranking.jp/1533649648

──農家の方からメッセージが届くこともありますか?

山本:よく届きますね。それぞれのエピソードへの感想も多いですが、『よるののうか』があって救われたという感情がこもったメッセージも思った以上に多いです。番組がちゃんと農家へのエールにもなってるのは嬉しいですね。

農業用倉庫から全国へ発信

──エピソードはどのように制作していますか?

山本:台本は私が農作業中に考えたことをスマホのメモに書いて、それを夜に台本に起こすというプロセスで作っていますね。

例えば除草剤を使ってる時に「これで1本録れないかな」とか考えるんです。それをもとに自分たちが持ってるニッチな知識を一般の人にも理解できる範囲に落とし込んで、「除草剤で打順を組んでみた」のような、農家に共感を覚えてもらいつつ、一般の人に発見を得てもらえるようなエピソードを頑張って作っています。

伊藤:僕は準レギュラーという立場なので、康平くんがどんなエピソードにするつもりなのか台本とか構成とかは一切見ず、その場で話して帰るだけという感じですね。編集も全て康平くんがやっています。

──収録はどのように行っていますか?

山本:うちの農業用倉庫で収録してますね。日中は農作業をしているので、夜中に録ってます。なのでちょっとノリも深夜ラジオっぽいです(笑)。『よるののうか』というタイトルもそういうことを踏まえてつけています。

──番組づくりで心がけていることはありますか?

山本:うーん、元気に話すことくらいですかね。伊藤さんなんかあります?

伊藤:僕は康平くんの話を受けて、一般の人には分からないかもしれない部分に注釈を入れたりすることは心がけていますね。

山本:伊藤さんは聴いてくれるリスナーを想定したうえで解説とかをしてくれるので助かっていますね。僕がニッチにいきすぎてしまうことがあるので、話のバランスを取ってくれます。

──なるほど

山本:ただ、バランスをとるのは毎回大変ですね。あまりに話を一般化させすぎるとオリジナリティはなくなりますし、ニッチすぎると伝わらないので。農家じゃない人でもギリギリ伝わるというラインを毎回頑張って取ってます。

ポッドキャストで「声が聴こえる農家」に

──ポッドキャストを始めて良かった点はありますか?

山本:農産物が売れるようになりましたね(笑)。スーパーに「私たちが作りました」って農家の写真が出てることがあるじゃないですか。あれが「顔が見える農家」だとしたら、私たちは言わば「声が聴こえる農家」ですね。

伊藤:僕のほうでも、聴きましたと言ってくれる方や、農産物を買いましたっていう方は増えましたね。

──最後に、今後の目標について教えてください。

山本:今後も農業という仕事の魅力やあり方を伝えつつ、リスナーの方と直接的に交流できる機会を増やしていきたいですね。うちの農園に来てもらってのイベントとかもやってみたいです。

伊藤:これからも楽しみながら番組をずっと作っていけたら嬉しいですね。

──本日はありがとうございました!

『オトナル原口大輝のエスケープジャーニー』でインタビュー全編配信中

農家の方にも、そうでない方にも幅広く農業について発信する『よるののうか』。番組制作の裏側をじっくりと知ることができる取材でした。

インタビューはFM大阪にて放送中のラジオ番組『オトナル原口大輝のエスケープジャーニー』のポッドキャスト版で全編聴くことができます。ぜひお聴きください!


よるののうか ~農業バラエティ~

連載「ポッドキャスターに聴く」では、今後もいろいろなポッドキャスターの方々にお話をお聞きしていく予定です。その他の記事も「ポッドキャスターに聴く」の一覧ページからチェックしてみてください。