IAB Tech Lab、ポッドキャスト測定ガイドラインv2.3の最終版を公開。動画への適用範囲や測定ルールを明確化

米国のデジタル広告の技術標準を策定するIAB Tech Labは、9月29日更新の公式ページで「ポッドキャスト技術測定ガイドライン」v2.3の最終版を公開しました。

今回の改訂では、動画ポッドキャストへの適用範囲や、ダウンロード数を数える際のルールなどを明確にしています。広告主や番組制作者が、配信実績を共通の基準で理解・比較するための指針となります。

IAB Tech Labのロゴ
画像出典:IAB Tech Lab

ポッドキャスト測定ガイドラインとは?

米国の業界団体IABによる、ポッドキャストの配信実績を共通の基準で測るためのガイドライン

ポッドキャストの広告出稿や番組運営では、「何回ダウンロードされたか」「何人に届いたか」「広告が何回配信されたか」といった数値が使われます。

ただし、同じ番組でも、数え方が違えば結果は変わります。例えば、同じ端末が同じエピソードを繰り返しダウンロードした場合、それを何回と数えるかによって、配信実績に差が生じます。

こうした違いを減らすために、測定方法や指標の定義をIAB Tech Labが整理したものが「ポッドキャスト技術測定ガイドライン」です。主に、配信サーバーに残る通信記録を使って、ダウンロード数や広告配信数を測る方法を示しています。

v2.3は、8月19日までの意見募集を経て最終版となりました。全文はGitHubで公開されています。

今回の改訂で明確になったポッドキャスト測定の3つのポイント

1.音声だけでなく、動画ポッドキャストも対象に

今回の改訂では、音声に加え、一定の配信方法による動画ポッドキャストもガイドラインの対象になることが明確になりました。

対象は、RSSフィードや、サーバーからファイルを配信する仕組みを使ったポッドキャストアプリで提供される動画です。MP4ファイルや、動画を細かく分割して送るHLS形式も含まれます。

ただし、すべての動画サービスに適用されるわけではありません。端末からの情報で再生状況を確認する「真のストリーミング」と呼ばれる配信方式は、現行版の対象外です。

また、音声を聴く人と動画を見る人の両方を表すため、「リスナー」に代わって「ポッドキャストコンシューマー」という用語が使われています。

2.ポッドキャストの計測用URLの変更が、数値に影響する場合も

ポッドキャストでは、音声・動画ファイルのURLに計測用のURLを付け、ダウンロードのリクエストを記録する方法があります。

この方法では、ファイルが要求されたことは分かっても、実際にどれだけのデータが端末へ届いたかを直接把握できるとは限りません。そのため、配信サーバーの記録から集計した数値と差が生じる場合があります。

また、計測用URLなどを変更すると、一部のアプリが同じエピソードを新着と判断し、再ダウンロードすることがあります。番組の内容が変わっていなくても、ダウンロード数が増える可能性があるということです。

ガイドラインでは、配信サービスを変更する際も、エピソード固有の識別情報である「GUID」を維持し、タイトルや公開日もできる限り変えないことを推奨しています。

3.同じ配信回のダウンロードでも、集計期間によって数が変わる

同じエピソードの重複ダウンロードを整理する際に、「どこからどこまでを1つの期間として数えるか」についても説明が加わりました。

例えば、同じ端末で夜11時にエピソードをダウンロードし、翌日の午前1時に再びダウンロードしたとします。

日付ごとに集計する方式では2回と数えます。一方、最初のダウンロードから24時間以内の重複を除く方式では、1回となります。

ガイドラインでは、次の3方式が整理されています。

方式 数え方
カレンダー方式 毎日決まった時刻に区切り、同じ期間内のダウンロードの重複を除く
ファーストタッチ方式 最初の有効なダウンロードから、一定時間内の重複を除く
ラストタッチ方式 期間内に追加のリクエストがあるたびに、重複を判定する期間を延長する

配信レポートを比較する際は、対象の日付だけでなく、こうした集計方法の違いも確認する必要があります。

ポッドキャストにおける「ダウンロードされた」と「実際に再生された」は異なる

ガイドラインを理解する上で押さえたいのが、ダウンロード数と再生数の違いです。

ポッドキャストは、端末に保存して後から聴くこともできます。そのため、ファイルが端末に届いていても、実際に再生されたとは限りません。

広告についても同様です。広告を含むデータが届いたことと、その広告が実際に再生されたことは、別の指標として扱われます。

主な指標 分かること 注意点
ダウンロード数 条件を満たしたエピソードの配信回数 実際に再生された回数とは限らない
ポッドキャストコンシューマー(利用者) IPアドレスやアプリ・端末の情報を使って識別した利用者数 実際の人数と完全に一致するわけではない
広告配信数 有効なダウンロードのうち、広告部分のデータが配信された回数 広告が実際に再生されたことを示すものではない
クライアント確認済み広告再生 端末からの通知によって、広告の再生を確認できた回数 取得できる情報はプラットフォームによって異なる

ポッドキャスト計測の重複や自動アクセスを除き、過大計上を防ぐ

本ガイドラインには、実際の利用とかけ離れた数値にならないようにするための測定ルールも示されています。これらには、今回の改訂以前からのルールも含まれます。

例えば、ボットによる自動アクセスや、Apple Watchとペアリング端末による重複ダウンロードなどは、集計から除外します。再生を一時停止してから再開した場合も、通信が複数回に分かれたことだけを理由に、ダウンロード数を増やしません。

また、有効なダウンロードを判定する基準として、原則として「1分間再生できるだけのデータ量」が届いていることを求めています。これはデータ量の基準であり、実際に1分間聴かれたことを意味するものではありません。

一方、オフィスや学生寮など、複数人が同じIPアドレスを使う環境もあります。こうした正当な利用まで除外すると、実際より少ない数値になるため、過大計上と過小計上の両方に注意が必要です。

ポッドキャストにおけるレポートの「数え方」を確認することが重要

今回の改訂は、配信実績を比較する際に、数値の定義や測定方法を確認する重要性を示しています。

広告主や番組制作者がレポートを見る際は、特に以下の点を確認すると、数値の違いを理解しやすくなります。

  • その数値は、ダウンロード数、広告配信数、実際に再生を確認した回数のどれか
  • 比較するレポートで、対象期間・地域・番組がそろっているか
  • 同じエピソードの重複ダウンロードを、どのような期間で整理しているか
  • 配信サービスや計測用URLを変更していないか

ガイドラインでは、測定事業者間のダウンロード数について、対象期間・地域・番組がそろっていれば、±5%以内の差は一般的に許容範囲としています。数値が大きく異なる場合は、測定方法などを調べる必要があります。

配信数が増減した際も、すぐに「聴く人が増えた・減った」と判断せず、集計条件や配信環境の変化を確認することが、実績を正しく理解するためのポイントになります。

ポッドキャスト広告の計測に関するご相談はオトナルへ

オトナルでは、ポッドキャスト広告に関する各種ソリューションを提供しています。配信実績の見方や広告の測定方法など、計測に関する疑問があれば、お気軽にご相談ください。https://otonal.co.jp/contact

IAB Tech Labとは

IAB Tech Labは、デジタル広告の共通ルールや技術仕様を策定する非営利の研究開発コンソーシアムです。広告主、メディア、広告関連サービスなどが、共通の基準で取引・連携できるようにするための技術開発や導入支援を行っています。

参照元:Podcast Technical Measurement Guidelines v2.3 / Podcast Technical Measurement Guidelines v2.3(GitHub)

AMI(エイミー)

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