ニチイ学館は3月5日、AIラジオ機器「RADIO TIME MACHINE」の介護施設における導入検証を開始しました。本機器は、ダイヤルで西暦を選択すると、その年のニュースと楽曲を組み合わせた音声コンテンツが再生される仕組みです。同社は、認知症対応型生活介護や通所介護の施設において、利用者のウェルビーイング向上やスタッフの負担軽減につながるかを検証します。

介護施設での活用を想定した導入検証
ニチイ学館は、介護人材不足の解消や現場負担の軽減につながるテクノロジー活用を検討する研究組織「GENBA SMILE Lab」を設立し、活動を進めています。今回の導入検証は、その取り組みの一環として実施されるものです。対象となるのは、認知症対応型生活介護や通所介護などの施設で、3月5日からプロジェクトを開始しました。
施設内のオープンスペースに機器を設置し、利用者が自由に使う方法のほか、レクリエーションの時間に介護スタッフのサポートのもとで使用することも想定されています。ニチイ学館は、利用者のウェルビーイング向上と介護現場の働きやすさの両立を見据え、現場での使用イメージを具体化しながら検証を進めます。
プロジェクトで想定する活用方法と狙い
ニチイ学館は、「RADIO TIME MACHINE」について、複雑な操作を必要とせず、ダイヤルを回すだけで使用できる点に着目しています。音声コンテンツであることから親しみやすさを持ち、利用者にとって身近に感じられる機器であるとしています。介護施設では、個人で自由に聴く利用に加え、レクリエーションの時間にスタッフと一緒に使用することも想定されています。
同社は、過去のニュースや楽曲に触れることで、利用者が思い出を振り返るきっかけとなり、利用者同士の会話や交流が生まれること、さらにスタッフと利用者との会話の糸口となることを見込んでいます。こうした現場環境の整備を通じて、介護人材の定着や採用にもつなげていく方針です。
事前実証で確認された利用状況
プロジェクト開始に先立ち、ニチイ学館は1月下旬から2月下旬にかけて、自社施設で事前実証を行いました。複数の利用者に「RADIO TIME MACHINE」を体験してもらい、若い頃のニュースや楽曲を聴きながら対話する場面を観察しています。
同社の発表によると、実証前には自身の両親の名前や若い頃に勤めていた会社名を思い出せない様子があった利用者が、機器の使用中に同じ質問を受けた際には即答した事例が紹介されています。あわせて、使用時と非使用時を比較するため、表情解析、骨格推定を用いた活動量解析、発話速度の分析も行われました。

表情解析で笑顔の値が上昇
表情解析を行ったところ、過去の出来事や当時の思い出に触れることで、笑顔の値が平均で8.7%上昇する結果が得られました。笑顔の値は、口角の角度や頬の挙上などの要素をもとに検出されています。中には、ラジオを聴くことで笑顔の値が23.8%上昇した利用者も確認され、音声コンテンツを聴く時間において笑顔の増加が見られたとしています。

身振りや手振りなど身体活動量が増加
骨格推定を用いた身体活動量の解析では、身振りや手振りが10%増加する結果が確認されました。音声コンテンツを聴きながら会話を行うことで、内容を相手に伝えようとする行動が増えたことが背景にあるとされています。こうした動作の変化は、利用者が過去の出来事について話す場面で見られたと発表されています。

発話量の増加を確認
発話速度の分析では、1分あたりの発話量が10.8語増加する結果が得られました。音声コンテンツをきっかけに過去の出来事を思い出し、それを周囲に伝えようとする場面が増えたことが観察されています。ニチイ学館は、過去のニュースや楽曲に触れることが利用者の会話のきっかけとなり、発話量の変化につながった様子が確認されたと説明しています。

今後の研究と導入に向けた検討
今春からは開発元であるTBWA HAKUHODOが、北里大学医療衛生学部の福田倫也教授らと共同で、「RADIO TIME MACHINE」が利用者にもたらす作用について研究を行う予定です。研究では、認知症の行動・心理症状に対する影響について、評価尺度による数値化のほか、行動分析や表情分析などの手法を用いて検証するとしています。
また、認知症の症状がない利用者についても、気持ちの安定や前向きさに関する変化を同様の手法で確認する予定です。ニチイ学館は、こうした研究結果を踏まえて本格導入を検討していく考えで、廉価版の「RADIO TIME MACHINE」を製造し、複数施設で導入検証を重ねる方針を示しています。導入検証で利用者や介護スタッフから高い評価が得られた場合には、全国の施設への本格導入を目指すとしています。
RADIO TIME MACHINEとは
RADIO TIME MACHINEは、ダイヤルで西暦を選ぶことで、その時代のニュースやヒット曲を組み合わせた音声コンテンツを再生できるAIラジオ機器です。過去の出来事や音楽をきっかけに、利用者が当時の思い出を振り返ったり、周囲の人と会話したりすることを促す目的で開発されました。介護施設でのレクリエーションやコミュニケーションのきっかけづくりとしての活用が想定されており、認知症ケアや利用者のウェルビーイング向上への効果を検証する取り組みが進められています。
参照元:利用者様のウェルビーイング向上と介護現場の働きやすさを目指し過去のニュースとヒット曲を音声コンテンツとして蘇らせるAIラジオ機器「RADIO TIME MACHINE」の介護施設への導入検証を開始



ダイヤルが昭和感あるね。