自分が持つ熱量を正直に語る。『ヤマモトユウトのラジ推し!』に聴くポッドキャストアワードへの挑戦

インターネットラジオの代表格である「ポッドキャスト」の魅力はどこにあるのか。その配信者であるポッドキャスターへのインタビュー連載「ポッドキャスターに聴く」。

第19回は、『ヤマモトユウトのラジ推し!-エンタメ古今東西-』(以下、『ヤマモトユウトのラジ推し!』)のパーソナリティであるヤマモトユウトさんに話を伺いました。

自分が持つ熱量を正直に語る。『ヤマモトユウトのラジ推し!』に聴くポッドキャストアワードへの挑戦

古今東西のエンタメを熱く語るヤマモトユウトさん。ポッドキャストを始めた経緯や番組制作の裏側について伺いながら、音声メディアの魅力や今後実現したいことを語ってもらいました。

ヤマモトユウトが語る音声メディアの魅力

本記事では、『ヤマモトユウトのラジ推し!』のパーソナリティであるヤマモトユウトさんに、ポッドキャストをはじめとする音声メディアの魅力を伺っていきます。

番組紹介:『ヤマモトユウトのラジ推し!-エンタメ古今東西-』


URL: https://radioshi-yy.jimdofree.com/

『ヤマモトユウトのラジ推し!』は、元声優の「エンタメ探求家」ヤマモトユウトさんが、演劇・映画・ゲーム・書籍など古今東西のエンタメを熱く語るポッドキャスト番組です。ヤマモトさんの熱いコンテンツ語りが人気を博し、2025年7月には初の単独イベントも開催されました。

コロナがきっかけのポッドキャスト配信

──『ヤマモトユウトのラジ推し!』はどのような番組ですか?

演劇や映像作品、ゲームなどを毎週1つ取り上げて感想を喋ったりオススメをする「偏愛トーク番組」です。少しでも作品について知っている方ならとても共感できる、全く知らない方でも楽しめる番組を目指してお届けしています。

自分が持つ熱量を正直に語る。『ヤマモトユウトのラジ推し』が語るポッドキャストアワードへの挑戦
ヤマモトユウトさん

──番組を始めたきっかけはなんですか?

コロナ禍の2020年にRadiotalkで音声配信を始めたのがきっかけです。もともと高校時代に『福山雅治のオールナイトニッポン』に出会って深夜ラジオにハマり、ラジオで仕事をすることを夢見てプロの声優になったんです。お世話になった芸能事務所を出て、心機一転フリーランスで頑張っていこうと思った矢先にコロナ禍で仕事がなくなってしまいました。

そうして途方に暮れていたときに、自分でラジオっぽいことをしてみようと考えて始めた配信が今まで続いています。当初は毎日配信していて、話題もさまざまだったのですが、自分のトークの長所とリスナーの反応などを考慮して現在の形に落ち着きました。

──番組はどんな人が聴いていますか?

演劇と特撮のファンの方が多いです。演劇の話題をよく取り上げるからか、舞台を制作しているクリエイターや俳優の方にもリスナーがいます。とある舞台の稽古場でそのシリーズの感想を語っている回が流されていると聞いたときはひっくり返るくらい驚きました(笑)

演劇関係者の方にお会いすると、業界内に実はリスナーがたくさんいるとこっそり教えてくださることがあり、とても励みになります。

自分が持つ熱量を正直に語る

──番組づくりで大事にしていることは何ですか?

2つあります。まず1つ目は自分が持っている熱量を正直に語ることです。

音声コンテンツは耳だけで聴く分、熱量のない話をするとリスナーはそれを察します。なので、自分が心の底から面白い、興味深いと感じているコンテンツだけを話すようにしています。

2つ目は、自分視点のエピソードを必ず入れることです。

作品に関して誰でもできる当たり障りのない話をしていては、自分が語る意味がないと思っています。なので、自分視点の思い出や小話を積極的に入れるよう意識していますね。自分の過去や体験に照らし合わせることで、独特の熱量や説得力が出るのが音声コンテンツの面白さだと思います。

──逆に、注意している点はありますか?

こちらも2つあります。1つ目は、語りたいコンテンツについてSNSで他の人の意見をなるべく見ないようにすることですね。

先ほどの「自分視点のエピソード」とも関わってくる話ですが、他人の感想を見すぎてしまうと、自分の中から出てきた感想と他人の感想との境目が分からなくなってしまいます。そうすると、自分の純粋な感想を話せなくなってしまうんですよね。

なので、SNSでは他の人の意見をなるべく見ず、見るにしてもファンアートくらいに留めています。

2つ目は作品の粗探しをしないことです。

作品の欠点を見つけるのは本当に簡単で、そして誰にでもできます。逆に、長所を見つけるのは欠点を見つけるよりもずっと難しい。ですが、どこを長所と感じるかは、その人それぞれの価値観によって全く異なっていて、そこがとても面白いんです。

なので、僕は自分が感じた作品の長所を届けることが、ポッドキャストを配信する意味だと思っています。

──番組づくりにあたって参考にした番組はありますか?

『マンガ760』と『ポッドキャストが出来るまで』ですね。『マンガ760』は佐島さんとにわさんの独自の切り口が面白くて、聴くたびに悔しい!という気持ちになります。今では2人とも友人ですが、参考にしつつも負けないぞ!と思っています(笑)

自分が持つ熱量を正直に語る。『ヤマモトユウトのラジ推し』が語るポッドキャストアワードへの挑戦
引用元:https://podcastranking.jp/

『ポッドキャストが出来るまで』は、運営や編集など、ポッドキャストのクオリティを上げるために参考にしています。Adobe Auditionでの音源の編集方法を解説する回は何度も聴き返していますね。

──普段よく聴く番組はなんですか?

ポッドキャストだと、上記の2番組に加えて『ヤーレンズの一生ボケても怒られないサッカーの話』と『真空ジェシカのラジオ父ちゃん』をよく聴いています。

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引用元:https://podcastranking.jp/

また、ラジオだと『オードリーのオールナイトニッポン』と『霜降り明星のオールナイトニッポン』は初回から欠かさず聴いています。あとは『アルコアンドピースD.C.garage』や『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0』、『おぎやはぎのメガネびいき』もよく聴いています。お笑いコンテンツばかりです(笑)

──初めて『ヤマモトユウトのラジ推し!』を聴く方に、おすすめの回はありますか?

2つあります。まず1つ目は「#26 メダロット2:ヤマモトが初めて手に入れた、おばあちゃんが強敵すぎるRPG」ですね。

この回は、自分のゲーマーとしての原体験のエピソードと、すっかりレトロゲーム枠になった『メダロット2』のやけに高い難易度への切り込みがうまくマッチした回です。メダロットシリーズを全く知らなくても楽しめるのもポイントかと思います。

2つ目は、「#119 トワイライト・ウォリアーズ決戦!九龍城砦:ヤマモトに刺さりまくる傑作!いつも以上の熱量で語り尽くします」です。

『トワイライト・ウォリアーズ』という香港のアクション映画の感想会なのですが、トークの構成や温度感が、自分でも映画をもう一度見たくなる仕上がりになっていて、お気に入りの回です。

作品の持つエネルギーを、必要な部分では冷静に、ここぞという場面で熱く語ることができたと思います。作品に対する熱量が高かったので、台本もスラスラと書けたのをよく覚えています。

配信5周年イベントも開催

──先日はイベントも開催されていました。

はい。今年の夏に配信5周年を記念して初の単独イベントを開催しました。チケットは即完売で、追加席も用意しましたがそちらもすぐに完売しました。

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イベントの様子

グッズも好評で、来てくださったリスナーの皆さんはもちろん、ゲストとしてお招きしたスタイリストの中原幸子さんにも喜んでいただけて本当にありがたかったです。

本業と並行してのイベントの準備は信じられないくらい大変でしたが、ポッドキャスト仲間をはじめ、たくさんの方々に助けていただいて、なんとか形にできました。イベントが全て終わった後の打ち上げでのレモンサワーは最高においしかったです(笑)

──番組を運営するにあたり、マネタイズの取り組みは行っていますか?

BOOTHにて番組グッズのオンライン通販を行っています。先日、初めての注文があって小躍りしながら荷造りをしました。

今後は、2回目のイベント開催を行うためにも、メンバーシップ制度などに取り組んでみたいと考えています。イベント開催には会場費やグッズ制作費、ゲストの方へのお礼などが必要になるので、安定したマネタイズが必要だということを実感しました。リスナーの力を借りて、イベントをブラッシュアップしていきたいです。

狙うはポッドキャストアワード

──今後の目標について教えてください。

ポッドキャストアワード受賞です!

番組を5年続けたおかげで単独イベントを開催することができ、さまざまなありがたいお声がけも増えるなかで、番組全体が軌道に乗っている実感があります。ですが、この番組には受賞歴だけがないんです!

賞レースに選ばれるのは番組をより高めていくためにも避けて通れない道です。なので絶対にアワードを手にしたいですね。僕は野心のかたまりで、これまでにもさまざまなことに挑戦してみては失敗してきました。そうした中、ようやく向いている分野としてポッドキャストを見つけることができたので、ポッドキャストアワードにかける想いは人一番強いと自負しています。

今年こそは、ポッドキャストアワードを手にします!

──最後に、これからポッドキャストを始める人へのアドバイスをお願いします。

ひとまず始めてみて、とにかく続けることですね。始めてみればさまざまなコツも掴んできますし、継続さえすれば自然とリスナーは増えていきます。細かい編集技術やサムネイル作成などのクリエイティブな部分は、ある程度リスナーが増えてからでも間に合います。なので、始めること、そして続けること。これを大事にしてほしいです!

取材を振り返って

ポッドキャストを通じて古今東西のエンタメを熱く届けるヤマモトユウトさん。その番組制作の裏側やポッドキャストにかける思いについて迫ることができる取材でした。

インタビューにあたり、ヤマモトユウトさんより番組を紹介する音声コメントもいただいています。ご本人の声で番組の魅力が語られていますので、ぜひお聴きください!

ヤマモトユウトのラジ推し!

連載「ポッドキャスターに聴く」では、今後もいろいろなポッドキャスターの方々にお話をお聞きしていく予定です。その他の記事も「ポッドキャスターに聴く」の一覧ページからチェックしてみてください。